【為替】日銀「タカ派」回帰の裏に米国の影 | 吉田恒の為替デイリー | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

早期の追加利上げを目指す日銀

前回5月1日の日銀金融政策決定会合を前後して、日本の2年債利回りは0.7%近い水準から短期間に0.6%を割り込むまで大きく低下した(図表1参照)。これは、日銀の追加利上げ姿勢が大きく後退し、予想以上に「ハト派」化したと受け止められたためだった。

【図表1】日本の2年債利回りの推移(2025年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 これに対して、今回6月17日の金融政策決定会合の後、2年債利回りはわずかではあったが上昇した。これは日銀が年内の追加利上げを目指す「タカ派」に戻ったとの受け止め方によるものだろう。「タカ派」に戻ったとの金利市場の評価が正しいとして、それはなぜだったのか。

米財務省の為替報告書が示した日銀利上げの継続「要請」

6月の初めに公表された米財務省の為替報告書の中には、以下のような一節があった。

「日本経済の成長とインフレ動向を踏まえ、日本銀行は2024年以降金融政策引き締め策を行ってきたが、それは今後も継続されるべき」、「そういったことが、円安・米ドル高を正常化させるとともに、望ましい二国間貿易の構造的なリバランスにもつながる」。

これは、「円安・米ドル高を正常化させるために、日銀は利上げを続けるべき」という意味ではないか。それでも、5月1日の前回の日銀金融政策決定会合の際には、直前までいわゆる「関税ショック」を受けた金融市場の不安定な状況が続いていたため、それを悪化させかねない日銀の追加利上げ姿勢は「封印」したのだろう。ただ、米国株などが「関税ショック」前の水準まで戻すなど、金融市場も安定を取り戻す中で、今回の金融政策決定会合では、「円安・米ドル高を正常化させるための日銀の利上げ継続」方針に戻ったということが大きいのではないか。

1月から始まっていた円安是正のための日銀への「圧力」

そもそも、日本の金利が米金利からかい離して大きく上昇するという異例の動きを見せたのは、1月末、ベッセント米財務長官が上院での承認を受けて正式に就任した頃からだった(図表2参照)。そして、日本の金利上昇が主導した日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小の中で、米ドル/円は3月にかけて大きく米ドル安・円高に向かい始めた(図表3参照)。

【図表2】日米の10年債利回りの推移(2024年9月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

【図表3】米ドル/円と日米10年債利回り差(2025年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 米ドル安・円高は、4月に入り「関税ショック」から一時「米国売り」の様相になると、140円割れへ一段と拡大した。この頃は、日銀の追加利上げなどなくても米ドル安・円高が止まらなくなり始めていたことから、上述のように日銀も追加利上げ姿勢を後退させ、「ハト派」に転じたとみられる。

ただ、そうした「米国売り」が落ち着くと、日銀の追加利上げによりさらなる円安是正を目指すべきとのトランプ政権からの要請は何ら変わっていないことを確認したのが米財務省の為替報告書であり、それを日銀側も受け止めている可能性が高いということが、今回の金融政策決定会合で証明されたのではないか。

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