モトリーフール米国本社 - 2025年6月15日 投稿記事より人工知能(AI)需要の爆発的増加により、データセンターとそれを支える機器に大きな需要が生まれています。AIコンピューティング・プラットフォームの大手プロバイダーであるエヌビディア[NVDA]は、次世代データセンター・アーキテクチャの開発に取り組んでいます。しかし、同社は単独でそれを進めているわけではありません。主要パートナーであるナビタス・セミコンダクター・コープ[NVTS](以下、ナビタス)とバーティブ・ホールディングス[VRT](以下、バーティブ)の2社が、重要な役割を果たすことになっています。以下、その概要をご説明します。## エヌビディアと次世代データセンターエヌビディアは最近、次世代の800ボルト(V)高電圧直流給電(HVDC)についてウェブサイトで説明し、導入を加速するために協力しているいくつかの主要パートナーについて言及しました。直流54Vのデータセンターから直流800Vへの移行はゲームチェンジャーであり、AIやハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)に使用される従来の直流54Vのデータセンターが置き換わることにつながりそうです。エヌビディアは、こうした新しいデータセンターが2027年に稼働を開始すると予想しているため、パートナー企業はそれまでにソリューションを準備しておく必要があります。従来の直流54Vのデータセンターでは、13,800Vの交流(AC)電力(通常、住宅地や産業施設に配電するために使用される電圧)がデータセンターに供給されます。そして、より低い交流電圧に降圧され、その後、低電圧の電力はITラック(IT機器を収容するための棚)に送られます。ITラックには配電ユニットがあり、直流54Vに変換されます。さらにグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)レベルの別のコンバーターに送られ、GPUに電力を供給するためにさらに低い直流電圧に変換されます。新しい800VのHVDCデータセンターは、13,800Vの交流電力をデータセンターの周辺で800Vの直流に変換し、そのままITラックに送り、そこでGPUの動作に必要な低電圧に変換することで、プロセスを簡素化します。エヌビディアは、新しいデータセンターは次のことが実現できると考えています。### ・効率を5%改善・銅の需要を大幅に削減・メンテナンスコストを70%削減・冷却要件の低減・総所有コストを30%削減## ナビタス、エヌビディアとの提携で投資家の関心を集めるナビタスの2024年売上高はわずか8,330万ドルでした。800VのHVDCデータセンター・アーキテクチャに関するエヌビディアとの提携発表によって株価は急騰し、2025年初来100%を超える上昇となっています。窒化ガリウム(GaN)および炭化ケイ素(SiC)半導体企業は、800V HVDCデータセンターの電力プロセス全体、周辺部での初期変換からITラックでの直流800Vから低電圧への変換まで、をカバーする電力変換ソリューションを提供しています。エヌビディアに半導体ソリューションを提供しているのは同社だけでなく、インフィニオン・テクノロジーズやSTマイクロエレクトロニクス[STM](いずれもエヌビディアのパートナー)など強力な競合企業も存在します。しかし、ナビタスはGaNとSiCに特化した企業であり、800V HVDCデータセンターの成長による大幅な収益は、同社の業績に大きな影響を与えるでしょう。ナビタスの将来的な成長見通しは明確とは言い難いため、ナビタスの評価を下すのは大変です。それでも、エヌビディアの後ろ盾は重要であり、ナビタスがエヌビディアの重要なサプライヤーとなることで株価上振れの可能性もあります。## バーティブ、隠れたAI/データセンター株800VのHVDCデータセンターへの移行には、13,800Vの交流グリッド電力を直流800Vに変換する新しい産業用整流器や、ITラックレベルのDCコンバーター、バックアップシステムの開発が必要であり、これらはすべて信頼性の高い電力供給を実現するために不可欠です。そこでバーティブの出番です。同社は、2026年後半に800VのHVDCソリューションの提供を開始し、エヌビディアが新しいデータセンター向けにKyberプラットフォームとRubin Ultraプラットフォームを展開する時期に間に合わせる予定です。ナビタスと同様にバーティブも、イートン[ETN]やシュナイダーエレクトリックといった大手産業企業と競合しています。しかし、ナビタス同様、バーティブもこの業界では専業企業です。同社はもともとエマソン・エレクトリックの傘下にありましたが、2016年にプライベート・エクイティに売却され、2020年に市場に上場しました。AI/データセンター関連銘柄の過熱への懸念は理解できますが、新世代のデータセンターに向けた動きは、バーティブの総獲得可能市場(TAM)の拡大を予測するものです。ウォール街のアナリストは、2027年まで10%台半ばの売上高成長を予想しており、800V HVDC受注の波は2026年、そして2027年に到来する見通しであることから、バーティブは今後数年で大幅な成長を遂げると見込まれています。免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Lee Samahaは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はエマソン・エレクトリックとエヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。
【米国株動向】次世代のデータセンターを支えるエヌビディアのパートナー企業2社:ナビタス・セミコンダクター・コープ[NVTS]とバーティブ・ホールディングス[VRT] | モトリーフール米国株情報 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
モトリーフール米国本社 - 2025年6月15日 投稿記事より
人工知能(AI)需要の爆発的増加により、データセンターとそれを支える機器に大きな需要が生まれています。AIコンピューティング・プラットフォームの大手プロバイダーであるエヌビディア[NVDA]は、次世代データセンター・アーキテクチャの開発に取り組んでいます。しかし、同社は単独でそれを進めているわけではありません。主要パートナーであるナビタス・セミコンダクター・コープ[NVTS](以下、ナビタス)とバーティブ・ホールディングス[VRT](以下、バーティブ)の2社が、重要な役割を果たすことになっています。以下、その概要をご説明します。
エヌビディアと次世代データセンター
エヌビディアは最近、次世代の800ボルト(V)高電圧直流給電(HVDC)についてウェブサイトで説明し、導入を加速するために協力しているいくつかの主要パートナーについて言及しました。
直流54Vのデータセンターから直流800Vへの移行はゲームチェンジャーであり、AIやハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)に使用される従来の直流54Vのデータセンターが置き換わることにつながりそうです。エヌビディアは、こうした新しいデータセンターが2027年に稼働を開始すると予想しているため、パートナー企業はそれまでにソリューションを準備しておく必要があります。
従来の直流54Vのデータセンターでは、13,800Vの交流(AC)電力(通常、住宅地や産業施設に配電するために使用される電圧)がデータセンターに供給されます。そして、より低い交流電圧に降圧され、その後、低電圧の電力はITラック(IT機器を収容するための棚)に送られます。ITラックには配電ユニットがあり、直流54Vに変換されます。さらにグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)レベルの別のコンバーターに送られ、GPUに電力を供給するためにさらに低い直流電圧に変換されます。
新しい800VのHVDCデータセンターは、13,800Vの交流電力をデータセンターの周辺で800Vの直流に変換し、そのままITラックに送り、そこでGPUの動作に必要な低電圧に変換することで、プロセスを簡素化します。エヌビディアは、新しいデータセンターは次のことが実現できると考えています。
・効率を5%改善
・銅の需要を大幅に削減 ・メンテナンスコストを70%削減 ・冷却要件の低減 ・総所有コストを30%削減
ナビタス、エヌビディアとの提携で投資家の関心を集める
ナビタスの2024年売上高はわずか8,330万ドルでした。800VのHVDCデータセンター・アーキテクチャに関するエヌビディアとの提携発表によって株価は急騰し、2025年初来100%を超える上昇となっています。
窒化ガリウム(GaN)および炭化ケイ素(SiC)半導体企業は、800V HVDCデータセンターの電力プロセス全体、周辺部での初期変換からITラックでの直流800Vから低電圧への変換まで、をカバーする電力変換ソリューションを提供しています。
エヌビディアに半導体ソリューションを提供しているのは同社だけでなく、インフィニオン・テクノロジーズやSTマイクロエレクトロニクス[STM](いずれもエヌビディアのパートナー)など強力な競合企業も存在します。しかし、ナビタスはGaNとSiCに特化した企業であり、800V HVDCデータセンターの成長による大幅な収益は、同社の業績に大きな影響を与えるでしょう。
ナビタスの将来的な成長見通しは明確とは言い難いため、ナビタスの評価を下すのは大変です。それでも、エヌビディアの後ろ盾は重要であり、ナビタスがエヌビディアの重要なサプライヤーとなることで株価上振れの可能性もあります。
バーティブ、隠れたAI/データセンター株
800VのHVDCデータセンターへの移行には、13,800Vの交流グリッド電力を直流800Vに変換する新しい産業用整流器や、ITラックレベルのDCコンバーター、バックアップシステムの開発が必要であり、これらはすべて信頼性の高い電力供給を実現するために不可欠です。
そこでバーティブの出番です。同社は、2026年後半に800VのHVDCソリューションの提供を開始し、エヌビディアが新しいデータセンター向けにKyberプラットフォームとRubin Ultraプラットフォームを展開する時期に間に合わせる予定です。
ナビタスと同様にバーティブも、イートン[ETN]やシュナイダーエレクトリックといった大手産業企業と競合しています。しかし、ナビタス同様、バーティブもこの業界では専業企業です。同社はもともとエマソン・エレクトリックの傘下にありましたが、2016年にプライベート・エクイティに売却され、2020年に市場に上場しました。
AI/データセンター関連銘柄の過熱への懸念は理解できますが、新世代のデータセンターに向けた動きは、バーティブの総獲得可能市場(TAM)の拡大を予測するものです。ウォール街のアナリストは、2027年まで10%台半ばの売上高成長を予想しており、800V HVDC受注の波は2026年、そして2027年に到来する見通しであることから、バーティブは今後数年で大幅な成長を遂げると見込まれています。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Lee Samahaは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はエマソン・エレクトリックとエヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。